【肌の話】皮脂分解物の遊離脂肪酸が皮膚に与える影響と肌ダメージ

今回は、皮脂についてと、遊離脂肪酸についての理解を深めようと思います。
ここへきて今更、ですが…。

目で見た情報を頭で組み立てようとすると、どうしても混乱してしまうので、ノート代わりにまとめていきます。

皮脂の役割

皮脂の成分である、グリセリン脂肪酸エステル(トリグリセリドなど)を皮膚常在菌が分解すると、2つの生成物ができます。

  • グリセリン
  • 遊離脂肪酸

この遊離脂肪酸により、皮膚表面が弱酸性になる。
そして皮膚が弱酸性に保たれることで、病原菌が増殖できない環境になります。

病原菌はアルカリ性を好み、アルカリ下で増殖していく。



このように、「病原菌による感染防止」という側面から考えると、皮膚にとってはなくてはならない存在とも言える皮脂ですが、反面、それが不利に働く性質も同時に持ち合わせているのです。

遊離脂肪酸の問題点「酸化」

実は、遊離脂肪酸そのものが皮膚にとって刺激物だということ。
その刺激物が更に酸化してしまうと、酸化物が皮膚を刺激して炎症を引き起こす原因に繋がっていく。
特に、遊離脂肪酸のうち不飽和脂肪酸は性質上、酸化されやすいので刺激になりやすいと考えられます。

遊離脂肪酸の問題点「不全角化」

遊離脂肪酸に含まれる一部の不飽和脂肪酸が、皮膚の角化速度を早めてしまうという情報があります。

「角化スピードが速い」
=ターンオーバーが速い
=未熟な角質細胞により角質層が構成される
=乾燥しやすく、刺激に弱い

これは肌荒れや毛穴目立ちに繋がります。

スキンケアで気をつけるべき点

以上を考慮すると、皮脂的にNGな項目が自ずと見えてきます。

  • 皮脂を長時間放置すること
  • 皮脂成分に似たものを追加塗布すること


【NG】皮脂を長時間放置

皮脂は分泌されると常在菌に分解されるので、必ず遊離脂肪酸が発生することになる。
この遊離脂肪酸を放置すれば、酸化するに決まっている。

これはつまり、「無洗顔はアカン」というとになりますね。
酸化した遊離脂肪酸を意図的に皮膚の上に放置するわけですから。
そら、かぶれるわ。

更にバリア機能の弱った皮膚では、酸化物(過酸化脂質)による被害が大きくなります。

「無洗顔」で角質のかさぶたを作ろうと考えても、上記の理由で必ず阻まれるので、この方法は現実的ではないということに。およよ…。

洗顔回数を増やすとどうなる?

かといって、「酸化した遊離脂肪酸が怖いから!」といって、1日に何度も洗顔してしまうと別の問題が出てきます。

  • 皮膚の乾燥を助長する
  • 皮膚常在菌を過剰に洗い流すことに繋がる

洗顔回数を増やすことでかえって「肌が不安定」になってしまうので、あまり神経質に怖がらず、洗顔は適宜と考えるほうが良さそう。

因みにですが私の場合、「1日2回顔を水で洗い流す」を続けると目に見えて肌が不安定になります。
肌が薄くてバリア機能が弱いし皮膚常在菌のバランスが悪い二重苦なので。

あぶらとり紙などで皮脂をこまめに除去したらどうか?

あぶらとり紙などで皮膚から皮脂を取り去り過ぎると、今度は逆に皮脂分泌を促してしまうことになるので悪循環。
これも適宜に留める。

あと、私は無洗顔実験のときに皮脂をティッシュオフしましたが、それでも肌はかぶれかけたので、水で洗い流さないと酸化物を完璧に除去できないのでしょう。
だから日に一度は水で洗い流すことが必須。

【NG】皮脂成分に似たものを塗布

皮脂そのものが刺激になる危険性があるのに、ここへ更なる危険要素を追加してどうする。
ということで、皮脂の構成成分とよく似ているからという理由で何かのオイルなどを肌に塗るのは危ないという結論になる。

ただし、すべてがダメというわけではなくて、中でも酸化されにくいもの(刺激になりにくい)や脂肪酸の構成比率(不飽和脂肪酸が少ないなど)によっては、肌に塗っても問題ないかと思います。

私のように重度のビニール肌をお持ちであれば、やはりオイルの塗布は極力控えたほうが良いでしょうけどね…。
肌を回復させたいなら特に。

まとめると

  • 皮脂は皮膚を弱酸性に保つ役割を担う
  • 皮脂の分解物(遊離脂肪酸)が酸化すると肌荒れの原因になる
  • 皮脂と似た成分のものだから「安全」だということにはならない(皮脂の性質上)


情報の正確さに躓くときは

このブログでも古い記事の理論をひっくり返すことが多いです。
どんな情報も100%正しいということはないので、ひとつに偏らず色んな角度から検証して、自分なりの答えを導き出してください。

おわりに

肌情報に関してはまだまだ「思い込み」の部分が多いので、今後も勉強していこうと思います。