【肌の話】本当に石けんは肌に安全?石けんの遊離脂肪酸が肌に与える影響

実はこれまでずっと、疑問に思っていたのです。

石けんは、本当に肌に「安全」なのか?

疑問に思っていても、自分で「理由付け」しようとしなかった。
だって面倒だったから。(汗)
でも、ようやく重い腰を上げます。

今回はその答えを自分なりに考えてみます。

【疑問】石けんは肌に安全なのか?

ここでは、環境問題は置いといて、どの肌質にも問題なく使えるか?ということのみに絞ります。

石けん反対論の意見から言うと、石けんは「刺激物」にあたる。
それは石けんに含まれる遊離脂肪酸が重要視されていて、遊離脂肪酸が多いほど肌への刺激が強いという話。

遊離脂肪酸が肌への刺激になる?

石けんに限った話ではなく、遊離脂肪酸そのものが肌への刺激になることは、以前記事にまとめました。

しかし、すべての石けんが肌に刺激となってしまうのか?
そこを明らかにしなくては今回の結論を出せません。
というわけで、まずは石けんの製法から見ていきます。

石けんの製法について

石けんの原料として必要なものは「油脂」と「アルカリ剤」です。
これを反応させることで石けんが作られるわけですが、完成する石けんの成分や純度は製法により異なります。

  • 中和法
  • けん化法
    • 釜焚き法(ホットプロセス)
    • 冷製法(コールドプロセス)

まず、アルカリと反応させる油脂を加工するかしないかの違いにより、中和法けん化法に分けられ、
更に「けん化法」のうち、加熱の有無により、釜焚き法冷製法に分けられる。

中和法

予め油脂を「脂肪酸」と「グリセリン」に分離させておき、脂肪酸だけを苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)または苛性カリ(水酸化カリウム)で中和して仕上げる製法。
短時間で出来上がるため大量生産向き。

けん化法

油脂そのものをアルカリで加水分解する製法。

釜焚き法

釜の中で油脂と苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を撹拌し、加熱して鹸化させる製法。
鹸化反応後には塩を加えて「塩析」という工程で、石けん以外の不純物を取り除くことにより、純度の高い石けんが完成する。

※塩析しない場合は、不純物を含んだ純度の低い石けんが完成する。
※苛性カリで作る場合、液状の石けんとなるため塩析は不可。そのため、液体石鹸は不純物がそのまま含まれることになる。

冷製法

油脂に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加えて撹拌し、加熱せずに反応熱だけで鹸化を行う製法。
生成過程で生じたグリセリンや、未反応の油脂、油脂に含まれる不純物がそのまま残るため、完成品の純度はあまり高くない。
不純物が多いことで、変質の原因にもなる。
手作り石けんがこれに分類。

製法による遊離脂肪酸の量、比較

各製法の純度から考えて、不純物となる遊離脂肪酸の量を比較してみます。

釜焚き<<釜炊き(塩析なし)、冷製法

※「中和法」は大量生産目的につき、製品完成前に保湿成分などの添加物を加える前提とみて除外。

完成品に「未反応の油脂」が残ると言われているものは、遊離脂肪酸が多いということ。
それは「肌にとってより刺激物が多い」ということになります。
となると、必然的に不純物が残留する液体石けんや手作り石けんは「安全」から外れることに。

今まで液状のものは盲点でしたが、泡で出てくる石けんや洗濯用液体石けんにも気を付けないといけなかったのね……。

純せっけんなら刺激は少ないのかな?

製造過程では不純物がほとんど残らない、無添加純せっけん。
つまり、刺激はゼロだと考えていいのか?
答えを出すには、「石けん使用後」のことを考えます。
水ですすぐ際が問題であり、以下のことが挙げられます。

  • すすぎの水により石けん成分が加水分解されて遊離脂肪酸ができる
  • 水に含まれるミネラル分と石けんが反応し、石けんカスができる


すすぎの水で加水分解

石けん洗顔後、水で泡をすすいで落とすわけですが、このとき、水により濃度が薄まることで加水分解反応が起きる。
そうすると脂肪酸ナトリウムから遊離脂肪酸に変化し、この遊離脂肪酸が皮膚に残留する。

石けんが「肌に優しい」と言われる話の中では、この遊離脂肪酸が肌の保護膜として働く、という意見もある。


すすぎの水で石けんカス発生

水に含まれるミネラル分(カルシウム、マグネシウム)と反応して石けんカス(脂肪酸カルシウム、脂肪酸マグネシウム)ができる。
この石けんカスが肌に残留し、時間経過で肌表面が弱酸性に戻ったときに分解された結果、遊離脂肪酸が肌に残ることになるという。

結局、遊離脂肪酸は出てくる

つまり、不純物がほとんどない純せっけんであっても、使用後には遊離脂肪酸という刺激物が出てくることから、「完璧に安全」とは言えないことになります。

更に、純せっけんはアルカリが強いため、その洗浄力(脱脂力)だけでも肌への負担は大きいことを忘れてはいけない。

石けんはどの肌にも安全なのか?の【結論】

一般的には「石けんは肌に優しい」という認識だけども、
中身(石けんの成分)を見てみると、案外、刺激になりうる成分を含んでいる。
なので、「肌が弱い」という自覚がある場合には、通常よりも遊離脂肪酸による刺激を受けやすくなるので、石けんを常用する際には細心の注意を払う。
(その場合は洗濯用石けんにも注意)

特に不全角化状態だったり、明らかなビニール肌を持っていて、肌が弱りきっている場合は、石けんが肌に刺激となるので使用は不可。
(むしろ悪化することもある)

もちろん、最終的に使用を決めるのは自分自身なので、生活上の優先順位や使用感や己の直感を大切に。

追記:石けんも使い方次第

自然回復ができないくらい肌が傷んでいるときは、肌の回復を最優先して石けんの使用を控えるのが良い。
お湯や水で洗うだけでも皮脂汚れは落ちます。

とはいえ、たとえ刺激になる成分が含まれていたとしても合成洗剤と比べたら人体にも環境にも優しいというのが石けんの良いところなので、
石けんひとつですべてをまかなうのが無理でも上手く生活に取り入れて活用するのが良いのでしょうね。
食器用洗剤など身の周りで使う洗剤は石けんが一番だと思います。

因みに、余計な成分(防腐剤等)が入っていたりする合成石けんもお肌にダメージ与えますよ。

補足:洗濯用石けん以外の洗剤で肌に優しいものは?

石けんで洗濯すると衣類に脂肪酸や石けんカスが残留するため、肌に刺激となる場合があります。
「肌が弱いし刺激を避けたいから石けんを使わない」となると、代わりに何を使うか?が問題になる。

そこで、人体にも環境にも有害な合成洗剤は候補から除いて、成分のシンプルなものを選びたいところ。
私も現在、実験中です。


おわりに

石けんについては過去に散々懲りており、肌がボロボロだった当時に詳しく調べて、早めに石けんの使用を中止していたら良かったなぁと反省してます。